忘れられない人
「あのね・・・。今、教習所に来ていて・・・。でね。」

切れ切れに言葉を発する私に、

「はぁ?教習所??何でまた、教習所にいるわけ?」

「あ・・・。いや、何でもない・・・です。ごめんね。」

自分で自分の行動がわけわかんなくなっていたので、慌てて電話を切ろうとしたが、

「ちょっと待て!中野、まさか・・・。」

凌の言葉の先がわかっていたので、私は何とも答えづらい。

「どこの教習所?今、友達といるから、ちょっと待ってられる?すぐにそっちに向かうよ。」

「ごめん・・・大丈夫。ちょっと初めての技能講習にてんぱってただけだから・・・。」

「いや、向かうから、とにかく待ってて。着いたら電話する。」

ガシャン。

そして、一方的に電話が切られた。

・・・凌がここに来る。

思ってもいなかった展開に、私は心臓がまたバクバクと脈打ちはじめた。

今日は一気にいろんなことがありすぎて、

頭も身体もついてかないよ・・・。

私は、トイレで着替えてから、2輪ステーションで教本を読みながら、凌を待つことにした。

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