忘れられない人
凌のその言葉に、私はがっかりとする。

今日この場にすぐに来てくれたことで、少し何か期待をしていたのかもしれない。

「水曜とかは?」

「え?平日なのに、平気なの?」

「水曜は会社の早上がりデーなんだよね。この日は残業しないで帰りましょうみたいなやつ。仕事上がりでよければ、メット買いに行く?」

「うん。私は定時で上がれるから大丈夫。どうすればいい?藤咲さんの会社まで行ったほうがいい?」

お互い定時とはいえ、17時10分に上がれる私の方が早いはずだ。

凌の会社は、朝霞にある。

名刺の住所を見たので覚えていた。

私の働いている東京駅からは1時間もあれば行ける。

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