太陽キャンディ






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ありがとうございましたーとグラウンドに、野球部にしては少なすぎる総勢11人の声が響く。


それがいつも、練習の終わる合図。






「お疲れ、後片付けは協力してやれよー」




監督の声とともに、11人ひとりひとりが荷物を持って部室に運ぶ。


俺もさっきまで使っていたレガースを専用のバッグに入れて担いだ。








「今日元気ねぇな、南っ」

「そうか、な」




バットケースを同じく担いだ、守備位置サードの河井が声を掛けてきた。



「成海と何かあったのかー?」


常にテンションが高い河井。
河井が落ち込んでいる時は、大抵雨の日か部活が休みの日ぐらいだ。




それくらい河井は野球が好きで、典型的な野球バカ。








なのに、


「いや、……ない、けど」






時たま痛いところを突いてくる。
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