太陽キャンディ
振り向いた途端に、脇に挟んでいたペットボトルのドリンクがスルッと落ちた。
ボンッと鈍い音がして転がっていった先は、
「ほい、もう落とすなよ」
太陽。
親切にもペットボトルについた砂を払って、手渡してくれた。
だけどまだ、そのピアスを見ると警戒心は取れずにいる。
「……ありがとう」
お礼だけでも、と思って頭を下げると。
「一年?」
「……そうです」
「なーんだ、タメじゃん」
頭上から彼の声がした。
……やっぱりどこか優しい声だ。
少し安心して頭を上げると、彼はグラウンドに視線を向けて言う。
「野球部にさ、朋史っているだろ?」
「……平塚先輩の知り合いなんですか?」
彼の視線は、グラウンドにはあったけれど。
俺は見逃しはしない。
(……この人、もしかして)
彼の曇ったような瞳が、マウンドを見つめていたことを。