太陽キャンディ
それを見て頷くと、彼はグラウンドへと視線を戻した。
「南由宇、一年キャッチャー、……だっけ」
「うん」
覚えてくれていたことがどことなく嬉しくて、ついつい声が大きくなる。
彼は座ったまま振り向かずに、自身の髪を右手で触った。
風が吹くと共に、沈黙が訪れる。
「……んで? なんか話とかあったんじゃねぇの?」
先に口を開いたのは御門陽太、彼だった。
それを聞いて、肩が跳ねる。
(話すこと、考えてない……)
「えー、っと……」
部活で疲れていた脳を必死に動かした。
聞きたいことはいっぱいあるはずだ。
参堂をなんでやめたのか、とか。
野球はいつからやってるのか、とか。
だけど。
『何も聞くな』
──彼のオーラが、そう言っていた。