運命
「桜 花憐さん。どうぞお入りください」
「はい」
待合室に待機していた私は看護婦さんに呼ばれ診察室に入る
隣ではずっと肩を抱いて心配そうにしているお母さん。
「検査の結果、妊娠はしていません。」
「そうですか。ありがとうございました」
お母さんは安心したように微笑んだ
でも、私はそう聞いた時少し寂しかった
他人の赤ちゃんとは言え、妊娠したって赤ちゃんは悪くない。
だから、もし妊娠していても産む覚悟は考えていた
数分が過ぎて、病院を出て車に乗り込む
お母さんは何も言わずエンジンをかけて家路に向かう
そんな車内で私は心の中で思っていた一言を口にした
「もし・・私が妊娠していたらどうしてた?私は産む覚悟できてたよ」
お母さんは無言のまま話そうとせず返事がない
私は数秒お母さんを見つめたあと窓の景色を眺めていた