君だけのもの


陽奈は益々泣きそうになりながら絵里奈の言葉を聞いていた。

「絵里奈、陽奈ちゃん借りていい?」

俺は無意識でそう言っていた。
俺の言葉に、絵里奈は何も言わずにどこかに行った。


「陽奈、辞めたければ辞めていいけど?」

俺は周りに聞こえないようにそっと言った。

すると、陽奈は首を横に振って「辞めない」と答えた。


陽奈ならそう言うと思った。
だから、安心して聞けた。

「じゃあ、最後まで死ぬ気で頑張れ。」

陽奈は不安げな顔で俺を見た。
「大丈夫。お前は、俺が選んだ奴だから。」

そう言って、陽奈の頭を軽く叩いた。



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