女性に声をかける10年
5年後…
私は25歳で社会人だ。


美咲の事はすっかり忘れていた。

…電話がなった…
公衆電話からだ。


女「もしもし…」
(かすれたハスキーな声だ)
俺「もしもし…」
(誰だろう?)
女「分からないでしょ!美咲だよ!美咲!」
俺「…えっ!声ぜんぜん違うじゃん」
女「酒でやけちゃってね」
俺「何年ぶりだ?5年くらいか?」
女「ほんとだよぉ,あの後いろいろ大変でさぁ…」

美咲は,いろいろと苦労した後,銀座のホステス(23)になっていた。
どうやら,俺のお金では行けないような高級クラブみたいだ。

女「なんかさ,お礼が言いたくってね」
俺「お礼?」
女「優しかったじゃん」
俺「…」
女「たけしのお陰で頑張れたよ」
俺「いや,何もしてないよ」
女「でも,お礼が言いたくって…」
俺「家には連絡してないの?」
女「…もう少したったら連絡しようと思ってるよ…」

もう少し話したかったが…
…ブー…
公衆電話がもうすぐ切れる音だ…。

女「もう行くね」
俺「分かった」


その後5年たつが,もう電話はない。
なぜだか,美咲のことを考えると切なくなる。


ろくにデートもせずに,美咲と寝ていた。美咲からお礼を言われた。
当時は、お礼を言われるようなこともしてないし、美咲のことを考えてあげていなかった。
だから,切なくなるのかもしれない。

25歳を超えても女の子と遊ぶことはやめられなかった。変わったことは,できるだけ楽しいデートを女の子にプレゼントするようになった。
自分自身もその方が楽しいことに気づいた。
ベッドインも素敵なデートの後が一番であることに気づいた。


そんなことを考える時に,美咲のことを思い出す…
若いときの自分が,未熟だったことを悔やむ…
しかし,何が正解だったのか未だに悩む…


今でも夏休みの渋谷には,帰っていないであろう女○中高生がたくさんいる。
関わらないようにするのだが…

そんなときにも,美咲のことを思い出す。
そして,心の中で思う

…幸せになってください…
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