そして俺らは走り出す
「何?

健の知り合い?」


俺がそう聞くと健は両手を挙げ、降参のポーズをとる。


「まさか。

俺が知り合いならとっくに拒絶されてる」


なんて訳の分からないことを言って。


そのときの俺は、まさかコイツが男嫌いだなんて知るわけも無いから
ただ、健みたいな性格は嫌われやすいっていうことなのかと思っていた。



…………まぁ、それは大会の優勝が決まった後、知ることになったんだが。



それから俺は、医務室へと脚をすすめた。



そのときの俺の身長は、今よりも低かったのだが
当然そいつも今よりはずっと小さくて。



うわっ、かるー……。

何コイツ、ちゃんと食べてんのかよ?



そう思ったのは今でも覚えている。



まさか数年後に、同じ思いをすることになるとは露ほど知らずに……。



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