そして俺らは走り出す
「じゃ、そゆことで」


ちょっと待て……。


「また後でっ」


ちょっと待て……!


「桜音に怪我させたら許さないからねー!!」



ちょっとまてーーーーー!!!








そんな捨て台詞を残し、梨沙は健の自転車で悠々と去っていく。


他の皆も早々と駅前に向かう。



「じゃ、紘あとでなー」

「途中で襲うなよ~」

そんな言葉の後、笑い声が聞こえる。


ッンなもん……!!


「するかっ!」



その言葉を最後に
とうとう俺と桜音の2人っきりになってしまった。


うわ~…気まずい……

なんか効果音で言うならシーーンみたいな。


あー…ホントにこんなに静かになることあるんだー…。



「えと…」


そんな言葉を漏らしながら桜音の方を見る。

その言葉に反応するように、桜音はビクッと肩を震わす。


さすがにちょっと傷ついたり。


でも、それが桜音だって知っているつもりだから。


「あー…あの馬鹿たちが言ってたことなら気にしないで。

俺、いきなり人襲ったりしないし」



ちなみに彼女いたこと無かったり。

桜音は俯いたまま、動こうとしない。


えと…どうしよう?



「んと、とりあえず後ろ

乗れば?」


そう言って、自分の自転車の後ろを指差す。



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