そして俺らは走り出す
クレープ


「おっそいぞー!!」


歩きだと長いものの、さすがは自転車。

あのままなら20分は悠に掛かっただろうところを、ものの5分で着いてみせた。


「あー…わり…。

途中でチェーンが外れて」

と、俺はありえない嘘をついてみた。


ていうかどうせ嘘吐くなら、もうちょいマシな嘘思いつかねーかな…。


こーゆー時、マジで自分の頭の悪さが嫌になる。



「ふぅん? だったら連絡の1つぐらいしなさいよねっ」

そう言って梨沙は俺の背中をバンバン叩いてくる。


……信じられてしまった。


桜音はすごく申し訳なさそうな顔でこっちを見てくる。


ったく。

俺が勝手に嘘吐いただけだから気にしなくてもいいのに。


「俺が勝手にしたことだから。

気にすんな」


ポンッと手を頭に乗せそう言う。


つーかさっきも思ったけど、こいつすげー髪さらさら。


すげー柔らかい。


つい頭を撫でるだけではおさまらず、桜音の髪を軽く梳く。


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