_卒業_
「絢ちゃん」
「ん?」
目の前にいるのは、同じクラスの子。
顔は見たことある…
だけど名前なんて誰ひとりとして
覚えてないのだから、彼女の事も覚えている
はずがないのだった。
ただ、女の子達の中心にいて、
慕われている子だと言う事は知っている。
「…何?」
「一緒に帰ろっ!」
私は愕然としてしまった。
一緒に帰ろう。
なぜかはよく分からなかったけど、
彼女は確かに笑顔でそう言った。
「ね?、お願い」
「あっ…、いいよ」
まさか自分に声をかけてくれる人がいるとは
思ってもいなかった。