_卒業_
ここの校庭は芝生になっていて、
1本の大きな桜の木がある。
今がちょうど満開で、
景色は本当にきれいだった。
その日、私は、帰りの
ホームルームが
終わっても帰る気になれず、
ぼんやりと景色を眺めていた。
「はぁ……」
そろそろ、ほんとうに
ちゃんとしなきゃだめだ。
だけど今のまま、いっそ一人でいた方が
楽かもしれないかもしれない。
だったらもう友達なんてもの、
いなくていいのかも。
「……はぁ」
いろいろ考えるのも面倒くさい。
もう帰ろうと思い、スクバを
手にとった時だった。