ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「聖斗君と、何かあったの?」


心配そうに私を見つめる智可と恵美里。


2人には
聖斗と別れた本当の理由を
今まで言えずにいた。


実の兄を好きになって
抱かれたなんて言ったら
いくらこの2人でも
ドン引きだよね…

軽蔑されるに決まってる。


これ以上、大切な人を失いたくない…


何も言えず俯く私の手を
智可はギュッと握り
「何でも話して」と言う。


その手の温もりが、心に沁みた。


智可はお兄さんのこと
どんな風に見てるのかな…
ちゃんと兄弟として育ってきた智可は
"兄"という存在を
どう感じてるんだろう…


一人っ子だった私には
突然現れた"兄"を
どうしても受け入れられない。


ずっと好きだった人だから、余計…


「智可…智可は、雅史さんのこと
お兄さんの他に男性として見た事ある?」


私の突拍子もない質問に
目を丸くする智可。


「はぁ?
お兄ちゃんを男性として?
それは…無いな…」

「…だよね」

「美羅、一体何が言いたいの?」


煮え切らない私に
痺れを切らした恵美里が突っ込みを入れてくる。


「うん…」

「もぉー、言っちゃいなよ!
私たちは親友だよ。
隠し事は無しなんだから!」


その言葉を信じていいのかな…


「私のこと、嫌いになったりしない?」

「しないに決まってるじゃない!
バカだなぁ~」


明るく屈託の無い笑顔を見せる2人。
この2人なら
話してもいいのかな…


「これからも親友で居てくれるよね?」

「当たり前~」


私は覚悟を決め
2人に聖斗とのことを話した…


どんなに綺麗ごとを並べても
決して許されることのない
禁断の愛。


兄妹だと知りながら
体を重ねた事実。


全てを話した…





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