ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「こんにちはー」

「京子さん、いらっしゃい」


玄関の扉を開け入って来たのは
真紅のコートを羽織った
ド派手なおばあちゃん。


「美羅じゃないー
怪我したって聞いて驚いたけど
元気そうで良かった。
はい、これお土産」


そう言って手渡されたのは
なぜか手羽先味のオカキ
それも食べかけで
半分しか残ってない…


「あ…ありがと…」


ズカズカとリビングに入ると
ソファーにドカリと座り
紙袋から幾つもの包みを取り出すと
テーブルの上に並べだした。


「これは幸次さんに…
あぁ、これは美津子(伯母さん)。
そしてーこれが聖斗」

「はぁ?なんで俺が、う○ぎパイ?」


不思議がる聖斗に京子さんは
意味深な笑顔を向ける。


「聖斗、このパイには精力の付くエキスが入ってるんだよ。
あんたも、もう26歳。
悦ばせたい女くらい居るんだろ?」

「ぐっ…」

「最近の若い男は
どうも、へなちょこで困る。
まさか聖斗も女にバカにされるような
お粗末なエッチしてんじゃないだろうねー?」

「ババァ…
余計なお世話だ!」


ムスッとした聖斗の横で
私は動揺しまくりだった。
つい、さっき聖斗に抱かれたばかりの体が
熱く反応してる。


京子さん。
聖斗は全然、お粗末なんかじゃないよ…
凄く激しいんだもん。


ヤダ…
思い出しちゃった…


すると伯母さんが
「京子さん、聖斗には彼女居るみたいなのよ。
まだ一度も会ったことないけど
結構、長い付き合いみたいだし
そろそろ結婚するんじゃない?」
と、嬉しそうに笑った。


結婚…


一瞬にして
私の心は凍りつく…


聖斗も私の気持ちを察してくれたのか
チラッと私の顔を見ると
「結婚なんて、しねぇよ。
俺は一生、独身でもいいって思ってる。
面倒くせぇの嫌いだし…

それに、俺より
まず兄貴が先だろ!」

そう言ってくれた。


「そうなのよね~
京子さん、実はね
私は優斗と美羅ちゃんが一緒になっいくれたらいいって思ってるんだけど
どうかしら?」


真面目な顔で
そう言う伯母さん。

まだ諦めてなかったんだ…




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