ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「優斗と美羅?
まあ、悪くないけどね」


今度は私が聖斗の顔をチラ見した。


「私も…結婚なんて考えらんない…」


ため息を洩らす伯母さん。
でも京子さんは違ってた。
探る様な視線を
私と聖斗に向けたみたいに感じたのは
気のせいだろうか…


その日の夜


聖斗が2階に上がり
伯母さんがお風呂に入って
京子さんと伯父さん3人になった時


意地悪な質問を
2人にしてみた。


「ママが結婚する前のこと教えて…」


伯父さんは、ママのこと
今はどう思っているんだろうって
ずっと気になってた。


京子さんもママと伯父さんのこと
知ってるはずだよね…


「薫?そうねー
おてんばな子だったわねぇ…
でも、可愛い子だった…」


懐かしむ様に目を細める京子さん。


伯父さんは特に何を言うでもなく
京子さんの言葉に頷いてる。


すると京子さんが、突然立ち上がり
「疲れたからもう寝るよ」と、リビングを出て行ってしまった。


伯父さんと2人っきり…
なんか、気まずい…


少しの沈黙の後
グラスのビールを飲み干した伯父さんが
ポツリと言った。


「薫は、美羅ちゃんに似てるよ…」

「えっ?」

「美羅ちゃんは、薫にそっくりになってきてる。
時々、薫じゃないかって思うくらいだよ…」


伯父さんはそう言うと
大きなため息をつき
目を閉じる。


「初めて薫に会ったのは
私が大学2年の時だった。
美羅ちゃんのおじいさんが営んでた
薬局にアルバイトに来た時だ。

私の家は貧しくてね
薬学部に無理して行かせてもらってたから
せめてアルバイトでもして
生活費を稼ごうとしたんだよ。

薫はまだ中学3年で
受験を控えていて
おじいさんに頼まれて少し勉強をみてやったりしてた」


伯父さんは懐かしそうに
微笑んだけど
私は複雑な心境だった…



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