ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「えっ?」


今、聖斗なんて言った?
大人になった…そう言ったよね…
それって
私を女として見てくれたってことだよね?


「もう、チビ美羅なんて
言えねぇな」

「聖斗…」

「さてと、服着たなら行くぞ」

「あ、うん」


さり気なく私の肩を叩き
部屋を出ていく聖斗の背中を
追いかける様に
私も部屋を出る。


ねぇ、聖斗…
さっきの言葉の意味
ちゃんと聞かせて…


車に乗り込んでも
気になって仕方ない。


「あ、美羅。
そー言えば…
さっきの話しだけどさぁ…」

「う、うん…」


わぁ!!
聖斗から言ってくれた。


助手席で息を止めて
聖斗の次の言葉を待つ。


「ガキの頃、一緒に風呂入ってた時
美羅、俺の股間ジーっと見つめて
『美羅も聖斗と同じのが欲しい!』って
ゴネたことあったよなー」

「はぁ?」

「そうそう!!
『美羅に、ちょーだい!』とか言って
俺のアソコ、思いっきり引っ張ったんだ」

「う…そ…」

「覚えてねぇのか?」


どうして
そんな話しになるのよ…


「覚えてない!」


期待した分、落胆が大きい…


「そうか…
あの頃の美羅…
可愛かったな…」


えっ?
あの頃の…私?


聖斗が何気なく言った
"あの頃…"と言う言葉に
胸がズキンと痛んだ。


今は、可愛くないのかな…
聖斗にとって
可愛かったのは、あの頃の私で
今じゃない…


薄々分かってたけど
改めて言われると
キツい…



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