ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

何年も
ずっと聖斗の言った言葉を信じて
期待してた自分が
滑稽で、バカみたい…


忘れよう…
もう、あの日のあの言葉は…
忘れよう…


運転席のドアが開き
聖斗が缶ジュースを手に
戻ってきた。


「じゃあ、行くか」

「せい…と」

「何だ?」

「私、帰る」

「はぁ?」

「悪いけど、家に帰りたい…」

「なんだよ。それ」


聖斗にしてみれば
突然の私の発言
戸惑うの当たり前だよね。


暫くスタンドに車を止めたまま
押し問答が続いた。


「分かったよ。
帰りゃいいんだろ
勝手にしろ!!」


すっかり怒ってしまった聖斗に
私は、そっぽを向く


「お前、そんなにワガママだったのかよ。
最悪だな!!」

「……」


最悪は、どっちよ。
その気も無いのに
あんなこと言って
私の気持ちを何年も縛っていたくせに…


聖斗は残酷だよ。


強引にハンドルを回し
家のガレージに車を止めると
私を見ることなく
乱暴にドアを閉め
聖斗は行ってしまった。


聖斗のバカ!
聖斗なんて、大嫌い!


久しぶりに泣いた。
泣いても、泣いても
涙が止まることはなかった…




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