ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「どういうこと?」


聖斗たちと同じマンションなんて
それも隣同士
そんなの、ありえない…


「いやな、オーナーさんが
隣の部屋が空いてるから
誰かマンション探してる人知らないかって

どうせ俺たちも結婚したら
どこか探さなきゃいけないんだし
丁度いいかな…って」

「そんな…
優斗は長男なんだよ。
この家を出るなんてダメだよ!」


焦って大声を上げる私に
優斗は笑いながら答える。


「なに年寄りみたいなこと言ってんだよ。
美羅がそんな古臭いこと言うとは思わなかったな…
それに
そうしろって言ったのは
母さんなんだよ」

「伯母さんが?」


すると伯母さんが私の横にやって来て
上機嫌で話し出した。


「いいのよー
新婚の内は2人で居たいものでしょ!
結婚しても
この家に居たら
何も変わらなくて新鮮味がないじゃない

それに…」


意味深な笑みを浮かべた伯母さんが
私の耳元に口を近づけ
小声で囁く


「その方が、早く子供が出来るでしょ!
美羅ちゃんには男の子を生んで欲しいの
後継ぎの顔を、早く見せてね」

「お、伯母さん!!」

「もう、決めてきちゃったのよ。
キャンセルは出来ないの!」


鼻歌を歌いながら
リビングに入って行く伯母さん。
優斗までご機嫌な顔で行ってしまった。


玄関には、私と聖斗が取り残され
微妙な空気が流れる。


「はぁーーっ」


ため息しか出ない…


「聖斗、聖斗はいいの?」


難しい顔をして、腕組してる聖斗に
遠慮気味に聞くと
聖斗もため息を漏らし、言う。


「俺は反対したさ…
結婚してまで兄貴と隣同士って
たまんねぇってな

でも、あの2人が盛り上がっちまって
俺の言うことなんか、全然、聞かねぇし…」

「だよね…
あの調子じゃ、無理かも…」

「…悪いな。
美羅は嫌だよな…」

「うぅん…そんなこと、ないよ…」


聖斗にはそう言ったけど
本当は、嫌だ…


あぁ…
また一つ、悩みが増えた。






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