ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

それから一週間後
理絵さんは無事退院し
自分の実家に戻った。


聖斗は、こっちの家と理絵さんの家を
行ったり来たり
そんな状態が続いていた
ある日


『瑠菜(ルナ)』と名付けられた聖斗の赤ちゃんの
お宮参りがあり
お祝いの食事会が、近所の料亭で行われた。


「そろそろ、家族揃って住んだ方がいいな」


理絵さんのお父さんが
そう言うと
伯母さんも大きく頷き


「お願いしてあるマンションは
いつでも引き渡し出来るそうですから
明日にでも行ってみましょう」
と、聖斗に目配せする。


「嬉しい!
やっと、聖ちゃんと瑠菜
親子水入らずの生活ができるんだ」


理絵さんは幸せ一杯って、感じだ。


瑠菜ちゃんを抱き
あやす姿も板に付いてきた聖斗
聖斗がこんなに子煩悩だとは
予想外だ。


私が聖斗の子供を産んでたら
こんな風に、いいパパしてくれたのかな…


叶わぬ妄想を打ち消すことも忘れ
私はただ、聖斗の笑顔を見つめていた。






次の日、仕事帰りに聖斗は伯母さんと待ち合わせて
マンションのオーナーの家へ行った。


私は夕飯の支度を済ませ
優斗の帰りを待ってたけど
中々、帰って来ない。


伯父さんはもう、とっくに帰って来てるのに…


「伯父さん、優斗は?」

「さぁ…?知らないなぁー」


呑気な伯父さんに、少しイラっとしてると
玄関の扉が開く音


「みらぁー、ただいまー」

「優斗、遅いー」


えっ?優斗だけだと思ったら
聖斗も伯母さんも一緒だ…


「美羅、俺たちの新居
決まったから」

「…新居?」

「そう、聖斗と同じマンションにしたよ。
同じ階で、隣同士
いいだろ?」

「えっ…」



嘘でしょ…




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