ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

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パイプオルガンの演奏がチャペルに響き渡ると
扉がゆっくり開きだす


そして、そこには
純白のウエディングドレスに身を包んだ美羅が
親父と腕を組み立っていた。


美羅…言葉が出ねぇよ


俺は、いけないと思いながらも
お前から視線を逸らすことが出来なかった


俺が知ってる美羅の中で
今日の美羅が一番、綺麗だ…


俯いていた美羅が顔を上げ
歩き出した時
お前が最初に視線を向けたのは
バージンロードの先に居た兄貴だった。


それは、当り前で当然のこと
美羅の夫になるのは兄貴なんだ…


でも、その美しすぎるお前を見て
俺の理性は壊れかけていた。


兄貴なんか見るな!

どうして俺を見ない?

俺を見ろ!美羅…


睨みつける様に
俺は美羅の姿を目で追う。
なのに…俺の前を通り過ぎる瞬間も
お前は俺を見ることは無かった。


心臓がえぐられ様な痛みを感じ
体中が、嫉妬の炎で熱くなる。


今にも飛び出し
美羅をさらってしまいたいという
衝動に駆られ
堪らず美羅から目を逸らす。


誓いの言葉の場面を迎えた頃には
俺の我慢は
限界に達していた…


もう…我慢出来ねぇ…

何もかも、どうなってもいい…

美羅…
俺は、お前を奪って逃げる。


決意を固め
顔を上げ、再び美羅を見つめた時だった…


「……!!」


今まで、一度も俺を見なかった美羅が
初めて、真っ直ぐ俺に視線を向けていた。


美羅…?


なんだ…その目は?


いつもの愛らしく可愛い瞳じゃない…


何かを決意した様な
力強い、鋭い眼差し


それは、間違い無く
俺だけを見つめていた。




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