ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

瑠菜ちゃんが喜ぶからと
聖斗の行動は段々エスカレートしていく


頬に触れていた聖斗の唇が
ゆっくり肌を滑り
それは、すごく自然で当然の様に
私の唇へとたどり着く…


ついに唇が
お互いの温もりを捉えた。


拒むことなど出来ない…


二度と触れることなど許されないと思ってた
聖斗の唇
私の大好きな
魔法のキス…


強引に押し込まれた舌が
私の心も一緒にかき乱していく…


「聖斗…」

「俺は…本気だ。
今度こそ、美羅を俺のモンにする」


怖いほど真剣な顔をした聖斗
覚悟を決めた様な
真っ直ぐな瞳


「ホントに、そんなこと許されるのかな…」

「別に誰かに許してもらおうなんて
思っちゃいねぇよ。
悪いことしてるのは百も承知だ。

全て捨ててもかまわねぇ…
俺は、美羅が欲しい」


その、力強い聖斗の言葉に酔いしれ
何もかも忘れて頷く私


「でも…許されるなら…一つだけ、頼みがある」

「頼み?」

「…瑠菜を…引き取ってもいいか?
瑠菜の…母親になってくれねぇか?」


夢中になって聖斗を求めていた手が止まる。


「勝手なこと言ってるってことは分かってる。
美羅が嫌なら無理にとは言わねぇ…
俺の為とか考えるな。
美羅の本当の気持ちを聞かせてくれ」


「聖斗…」

「今、お前がここで感じた気持ちを
正直に言ってくれ」


そう言いながら
私の胸に手のひらを当てる。


「バカだね…」

「な、何がバカなんだよ!」

「だって、そんな質問するんだもん」


そんなの聞くまでもないよ…聖斗。


「私も、瑠菜ちゃんと離れたくない…
この3人の時間が
何より大切なの。
瑠菜ちゃんのママに…なりたい…」


聖斗が、ホッとした様に
大きく息を吐く。


「ありがとな、美羅」


穏やかで、慈愛に満ちた
聖斗の顔
聖斗も、そんな顔するんだね。


父親なんだね…


私も、そんな風に
笑いたい…






瑠菜ちゃんの母親になって
笑いたいよ…

聖斗








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