ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

リビングの絨毯の上に3人
円を描く様に座ると
理絵さんは、私と聖斗の顔を交互に眺め
「どんな言い訳聞かせてくれるの?」
と、腕を組む。


「…理絵が美羅に瑠菜を預けて
毎日、どっか出掛けてるって知って
様子を見に来てただけだ」


聖斗が静かにそう言う。


「ふーん…
聖ちゃんは、私が悪いって言いたいんだ?」

「当たり前だろ!!
自分の子を美羅に預けて
毎日、どこ行ってんだよ」

「フフフ…
どうせ美羅ちゃんが、聖ちゃんにチクるだろうから
隠しても無駄だよね。
私ね、キャバクラで働いてたの」

「はぁ?キャバクラって…
なんだソレ?」

「キャバクラだって、立派な仕事よ。
神経すり減らして働いてんだから!!」


神経…すり減らして?
分からない…


「じゃあ、どうして
そんな仕事してたの?」


疑問がそのまま言葉になってしまった。


理絵さんは、私をキッ!っと睨むと
「優しくしてもらえるからよ!!」
と、声を荒げた。


「聖ちゃんは仕事から帰って来ても
瑠菜ばかり可愛がって
私のことなんか、見てもくれない。

私が話し掛けても上の空。
一緒に住んでるのに
まるで他人じゃない!

でもね、お店に行けば
お客さんが私の気を引こうと一生懸命なの
優しくしてくれるし
私の話しも聞いてくれる」


理絵さんの瞳には
薄っすらと涙が滲んでいた。


「理絵さん…」

「そんな私の気持ちなんて
気付いてなかったでしょ?聖ちゃん」


流石に、聖斗も痛い所を突かれたと思ったのかな…
言葉が出ない。


「もう、認めなさいよ!!
アンタたち、デキてるんでしょ?」

「そんなこと…ねぇよ…」


聖斗は否定した。
それは、私と約束したから?
優斗が帰って来るまで
理絵さんと離婚話しはしないって
あの約束を守ろうとしてくれてるの?


「どこまでも、シラを切るつもりなんだ…
分かった…
じゃあ、これは、どう説明してくれるのかしら?」


そう言った理絵さんが
自分の鞄から取り出したモノ


それを見た
私と聖斗は、これ以上無いというほどの
衝撃を受けた…






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