ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「これは…」

「どうなの?
これでも2人は何も無いなんて
バカなこと言える?」


理絵さんは知ってたんだ…
ずっと前から
私と聖斗が不倫の関係だったってことを…


理絵さんが私たちの目の前に置いた写真には
あの、思い出の海の帰りに寄った
ホテルから出て来る聖斗の車


そして、その車の中で見つめ合ってる
私と聖斗の姿が、ハッキリ写っていた。


「うそ…」

「嘘?それは、こっちのセリフよ!!
これを見た時、私がどんなにショックだったか…
アンタたちに分かる?」


すると聖斗は、一つ、大きく息を吐くと
理絵さんに向かい
「俺と美羅は、付き合ってる」
と、真実を口にした。


「…やっと、認めたわね」

「でも…どうして、こんな写真が?」


私の問いかけに
理絵さんはほくそ笑み


「今はね、便利なモノがあるのよ。
GPS機能…
静岡に居るはずの聖ちゃんが名古屋に居るじゃない?

そして、次の日は海の近くで動かない。
おかしいと思って住所調べて確認したら
ラブホだったわ。

それで、知り合いに頼んで
そのホテルまで行ってもらって
証拠の写真撮ってもらったってワケ」
と、得意げに写真を指差す。


「なるほどな…
全部バレてたってことか…」

「そうゆーこと!!
どう?目が覚めた?聖ちゃん。
私が納得するまで、ちゃんと謝ってよね」


理絵さんは
聖斗を許すつもりなんだ…
別れる気なんて、全然無い…


「理絵…理絵には悪いが
俺が好きなのは美羅なんだよ。
これからも美羅以外の女は愛せない…」


聖斗の言葉を聞いた
理絵さんの顔色が変わる。
そして、下唇をギュッと噛みしめた。


「俺と…別れてくれ…理絵」


とうとう、言ってしまった…


「別れる?冗談じゃないわよ!!
別れるのは、そっちの方でしょ?
私たちには瑠菜が居るのよ。
この子に会えなくなってもいいの?」


理絵さんの目には、今にも零れおちそうな涙。
その姿からは
さっきの余裕なんて、どこにも見当たらなくて
必死さが伝わってくる。


「瑠菜は…俺が引き取る」



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