ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「…濡れるから…
屋上で食えねぇし…」

「屋上で食べてたの?」

「うん」

「もしかして…1人で?」

「そう」


気のせいだろうか…
ほんの一瞬だけど
彼の目が、暗く沈んだ様に見えたんだけど…


両親を亡くした私と同じ
それは、失った何かを求め
もがき苦しんでる目


無償の愛を求める目…


「わぁ!!
上杉君のお弁当、凄い!」

「そうか?」


彼は、すました顔で
ご飯を口に運ぶ


これって、まるで
デパートの高級惣菜みたいな
立派なお弁当じゃない…


こんな豪華なお弁当
初めて見た。
私のなんて
恥ずかしくて見せらんないよ…


「俺は、お前の弁当の方が
旨そうに見えるけど…」

「これが?
からかわないでよ」

「…手作りって感じで
いいよな…」


いつもの高飛車な上杉君とは思えない
うつろな瞳


「お母さんが作ってるの?」

「まさか…
忙しいからって言って
前の晩に
仕出し屋から配達されてくるおかずを
朝、弁当に詰めてるだけさ」

「そう…なんだ」

「なぁ、お前の卵焼き
一つ貰っていいか?」

「あ…うん」


私のお弁当箱から
少し焦げた卵焼きをつまむと
大きく口を開け
それをほうばる。


「甘っつ!!」

「あっ、私、甘いのが好きだから…」


また文句言うんだろうと
身構えた私に
「旨い…
俺も甘いの好きなんだよな…」
と、呟く


その顔は
いつもの憎らしい上杉君とは
まるで別人で
子供みたいに、目を輝かせていたんだ…


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