ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

それからの私たちは
約束した訳じゃないのに
毎日、向き合って
お弁当を食べるようになった。


いつしか
私の卵焼きを
美味しそうに食べる彼の顔を見るのが
楽しみになってたのかもしれない…


そんな、ある日


休み時間、クラスメイトの女子が2人
私に話しかけてきた。


「江川さん。
今、いいかな?」

「えっ…うん」


2人は、私を廊下に連れ出すと
不思議そうな顔をして聞いてくる。


「ねぇ、江川さんって
上杉君と付き合ってるの?」

「まさか…
付き合ってなんかないよ」

「でも、一緒にお弁当食べてるし…」

「あぁ、それは
たまたま、成り行きで…」


2人は、益々興味を示し
徐々に声が大きくなる。


「上杉君と、どんな話ししてるの?」

「どんな話しって…
別に、これといって…」


なんか、尋問されてるみたいな気分


「上杉君と話しちゃダメなの?」

「そうじゃなくてー…」


彼女たちは、上杉君と
同じ中学だったそうで
今まで彼が
クラスの子と、あんなに喋ってるのを見たこと無いと
かなり驚いていた。


「上杉君ってね、頭良くて
家もお金持ちだし
見かけもいいじゃない。
でも、性格がああだから
残念な子だって噂してたの…

私たちの間で
彼、変人って呼ばれてんだよ」

「変人?」


みょうに納得できて
笑えてくる…


「いったい、どんな技使って
上杉君と仲良くなったの?
すっごく興味あるんだけど…」


「…技なんて…使ってないよ」


でも、ここまで言われるってことは
彼って
ホントに変わり者なんだ…


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