ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「江川、お前さぁ
時々、すげー寂しそうな顔してる時あるよな。
ずっと、気になってた…

どこに居ても
何してても
その顔が浮かんで
江川を笑顔にしてやりたくて
でも、どうすりゃいいか分かんねぇし…

俺じゃダメか?
頼りにならねぇか?」


上杉君の言葉が信じられなかった。
私のこと
そんな風に心配してくれてたなんて…


込み上げてくるものを感じ
目頭が熱くなる。


「そんなこと…ないよ」

「なら、俺と…
付き合ってくれよ…」


肩を抱かれ
引き寄せられる。


彼の髪から爽やかなシャンプーの残り香が
鼻をかすめ
なぜか私の心は安心感に包まれていく…


そして
なんの躊躇もなく
彼の唇を受け入れていた


ファーストキス…


不思議な気持ち…
拒むことは出来たのに
私は拒否することなく
上杉君と唇を重ね
彼の頬に、そっと手を当てた。


すると、それが合図だったみたいに
彼は私の体を
強く、強く抱きしめてくる


「美羅って、呼んで…いいよな…」


何度も唇を押し当てながら
上杉君が囁く


「…んっ…う、うん」

「美羅…
俺から離れんな…よ
美羅…」


初めてのキスは
聖斗と…

ついさっきまで
そう思ってたはず


なのに今は
上杉君の愛に答えたいと思ってる私が居る。
自分の気持ちに戸惑いながらも
私は上杉君を求めていた…




聖斗…

あなたを忘れる時が来たのかな…
忘れなきゃ…いけないのかな…


あの、海での約束から
6年を迎えようとしていた
初夏の出来事だった…






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