ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「美羅が高校入った頃
兄貴が帰って来たことあったろ?
ベットで抱き合ってるお前たち見て
確信した。
美羅は兄貴が好きなんだって…」

「それは…」

「で、その後
俺のこと好きだって?
冗談じゃねぇって、思ったワケ」


タバコの煙を燻らせながら
目を細め
遠くを見つめる聖斗


「だから、あんな酷いこと言ったんだね…」

「淫乱女…か…
悪かった。
美羅を傷つけたこと分かってたよ。
でもな、俺もあん時は
普通じゃなかった…」

「もしかして、嫉妬?」

「バカ!そんなんじゃねーよ!」


照れた聖斗が
凄く可愛くて
ちょっぴり、嬉しかった。

「で、それからすぐ
美羅は男ができた…」


上杉君のことだ…


「相手は、兄貴だと思ってたよ」

「えっ?」

「休みになると
ソワソワして嬉しそうに出かけてく…
たまたま、用事があって
兄貴に電話したら
今からデートだって
アイツまで浮かれてて…

てっきり兄貴とデキてるんだって思ってた。
でも、違ったんだよな…」

「うん…」


どうしてだろう…
罪悪感が胸を締め付ける


「その男と…寝たのか?」


一瞬、心臓が止まった様な気がした…
聖斗以外の男の人に
抱かれたこと。
それが
とてもイケナイことをした様な気がして…


「どうなんだ?」


聖斗は、至って冷静だ。


「…ごめん」


その言葉しか言えなかった…


「別に謝ることねぇよ…
そうか…美羅も女になったんだな…」


重苦しい空気が流れ
居た堪れない。


すると聖斗はニッコリ笑って
言ったんだ…


「良かった…」って…




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