ロンリー・ハート《この恋が禁断に変わるとき…》【完】

「良かった…?
それ、本気?」


おもわず体を起こし
聖斗を見据える。


「あぁ…」

「どうして?
聖斗は私が他の男の人と
そうなったこと
ホントに良かったって思ってるの?」


ただ頷く聖斗。
いったい聖斗は何を考えてるんだろう…
理解できない。


「もう、この話し終わりだ…」


タバコをもみ消し
私の頭をポンポンと軽く叩く。


その時
階段の方から伯母さんの声がした。


「せいとー、みらちゃーん。
ご飯食べたのー?」


あっ…そうだ…
まだ夕飯食べてなかった…


「ほら、飯食いにいぞ」


立ち上がった聖斗の背中に
そっと、触れた…


「お願い…
これだけは答えて…

あの時の約束
守ってくれる?」


また、はぐらかされるんじゃないかって
不安で一杯になる。


でも、振り返った聖斗の顔は
満面の笑みだった。
そして、ハッキリ

「もちろん、守るさ」
そう言ってくれた。


やっと、聞けた…
何年も待ち望んだ
聖斗の答え。


聖斗は、ずっと側に居てくれる。
私の側に居てくれる…


高鳴る胸の響きも心地よくて
私は自然に笑顔を返していた。


幸せとは
こういうことを言うんだ…


この時の私は
聖斗の苦しみなど知らず
ただ、単純に喜んでいた。


そう、何も…知らずに…





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