愛していたのは
忙しい朝
彼女が俺より早く起きているのは珍しいこと。
何でも友人の結婚式で東京に行くと言う。
部屋をあっちにこっちに走り回り騒がしい!
ベッドから
「大丈夫か?」
と声をかけると
「大丈夫じゃないよ〜もういいや、足らなけりゃあっちでも買えるしね!もう出なきゃ間に合わんよ」
ってバタバタと、俺の上に覆いかぶさり
「明日には帰るから泣かないでね」
俺が、何いってんだかっと思ってる間にチュっってやって、もう荷物を持ってない左手のひらをピロピロ振っている。
「気を付けて行ってこいよ!」
ピロピロ振って返した。ドアが閉まった後、静かな部屋に安堵だけじゃない、なんだか分からないポカンとした気持ちが残った。
たった一晩一人になるくらい、ベッドも広く使えて、ラッキーだ!
と、俺もそう、あいつだってこの時が長い別れに成るなんて思わなかった▼
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