私(獣師)と、あいつ(神獣)
壱・神獣と獣師
――――――――古から伝わる、神と謳われ、崇められし獣―――「神獣」
その神獣を意のままに、操る事の出来る者を「獣師」と呼んだ。

獣師になる者は、歳が十五になった時、ある儀式を行う。それは神獣が封印されている、数ある札の中から一枚をとり、その札の中に封印されている神獣を召喚する、と言うものだ。

そして、その儀式の時に選ばれた神獣を、生涯の相棒とし、己の命尽きる最期の刻まで
神獣と共に生き、獣師と言う役を全うする。

神獣は、命尽きる事が無い為、主が死ぬと札の中へと封印され、また何年・・・何百年かの後、新しい主によって再び召喚されるのを待つのである。



第二章・神「ハイハイ。」







バサッと、古い書物を投げ捨てた彼女―――「神崎 弥生」は、ベットに腰掛け溜息を吐いた。
その視線の先には、机の上に何百と積まれた古い書物があった。











「こんなの一日で読める訳無いじゃん。って言うか、何で今日が儀式の日って忘れてる訳よ・・・!」













苛々と、髪の毛をかき上げた弥生は、今日で十五歳になる。それは、弥生が獣師になる日でもあるのだ。

弥生の家は、先祖代々獣師の役をやっており、弥生が獣師となり家を継ぐ事になれば丁度五百代目になる。











「全く、あのくそオヤジ・・・!!!」















弥生は、机の上の書物に目を向け、またガックリと項垂れた。






と、その時、コンコン、と誰かが弥生の部屋の扉を叩く。















「はーい、誰ー?」












「失礼致します、姫様。そろそろ、儀式のお時間で御座いますよ。」












































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