ダンデライオン~春、キミに恋をする~
Season1 蒲公英を探して

・たんぽぽをつけた王子様


緩やかな坂道。
その道を覆うように、桜並木が続いてる。
満開の桜が、春風に乗ってその花弁をヒラヒラ飛ばす。



――4月。


わたし、間宮椎菜(まみやしいな)は、桜をのんびり見ることもなくただひたすら呆然としていた。


「……嘘でしょ」


ポツリとこぼれた言葉も、穏やかなピンクの風がどこかへ連れ去った。

今日から学校が始まると言うのに、わたし以外の生徒の姿はどこにも見当たらない。
それもそのはずだ。
時間は9時をまわろうとしてる。


「遅刻だよ……まじでありえない」


今日から高校2年生。
うちの学校は、1年と2年はクラス替えがあるんだ。

早く行って、クラス表を見るはずだったのに。

坂道の先に、小さく見える校舎。
そこまで駆け上がる体力が、わたしに備わってる自信は、今のところない。

わたし達の間では、桜坂、なんてロマンチックな名前で呼ばれてる。
またの名を、S坂。
もちろん、登りも下りも辛いって意味で。


「……はあ」


ため息をついたその時、ブレザーのポケットでスマホが震えた。


「もしも――…」
『ちょっと、シィ!? 今どこにいんのよっ』


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