ダンデライオン~春、キミに恋をする~

・お砂糖マジック



学校の帰り道。

あたし達は、駅前にいた。
街は間近に迫ったクリスマスの音楽やイルミネーションで華やいでいた。


「すっごい人だね、みんなプレゼント買いに来てるのかな?」



手袋を外した手に、熱々のたい焼きを持って、あたしは隣の響を見上げた。



「ん?……はは。椎菜、あんこついてる」

「へ?う、うそッ」



うわーん、この雰囲気にすっかり夢中になってて、そんな事気が付かなかったよぉ。
恥ずかしい……


真っ赤になったあたしを見て、響は楽しそうに笑ってる。

同じようにたい焼きを食べてたはずの響。
その姿はすっかりなくなっていた。

急いで残っていたたい焼きを頬張ると、無理矢理喉の奥に押し込んだ。



「……」



そっと隣を歩く響を見上げた。


トクン

トクン


響を見るだけで、胸が疼く。



寒そうに首をちょとだけすくめて、鼻の頭をほんのりピンクに染めて。
響の歩くリズムに合わせて、柔らかな栗色の髪がふわふわ揺れてる。


行きかう女の子達から視線集めてるの、気付いてる?

なんだか妬けちゃうな……。


男の子なのに……。
あたしよりずっと魅力的なんだもん。

勉強も運動も文句なしだし。

あーあ。

あたしも響みたいだったらなぁ……。




「椎菜」

「!」


ぼんやりと響を見つめていたら、いきなり視線を落とした響。
思わずビクリと体が小さくはねた。

響は、マフラーに口元を埋めてポケットから手を出しながら言った。
その手が、あたしの左手をそっと握る。

わわっ!



「24日、どうする?」




え?


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