ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「ね、そー言えばさ」


突然、ゆっこがキャラメルミルク色のショートボブの髪を揺らして、身を乗り出した。

その視線の先はあたし。


へ?





「シィに聞きたい事あるんだけどぉ」


まるで探偵さながら、パッチリ二重の大きな瞳をキラキラさせて頬杖をついた。

ドキ


「なに?」

「最近、年下イケメンくんに迫られてたらしいね?」

「ぶっ」


かぶりついたばかりのおにぎりを思わず落っことしそうになった。


せ、迫られてた!?



その隣でのんちゃんが同じようにうなずいて、ふたつに結んである髪をクルクルと指先でいじっている。
沙耶はズズズとジュースの残りを飲み干して、今度はあたしに視線を移した。


「この前、下駄箱で楽しそうに話してるの、けっこう見た人いるんだってぇ。
ま、あんな場所でイチャイチャしてたら、誰だって気付くよね~」


い、イチャイチャ?


「ち、違うよ! あれはアイツが……」


あたしの前髪をバカにしてただけで。


「アイツだって。仲いいんだ。ってかいつの間に?だよぉ」

「仲良くないって! いつもバカにされてて」

「それを仲が良いって言うんだよ? 結構人気あるらしいよ、あの子」


含み笑いのゆっこに全力で抗議する。
でも、のんちゃんが、ふふふって笑うからあたしの勢いが半減してしまった。

それから「それに」って人差し指で頬をトントンとしながら、思い出したようにに宙を仰いだ。



< 305 / 364 >

この作品をシェア

pagetop