ダンデライオン~春、キミに恋をする~
「見た目は綺麗だけど、中はボロボロだよ」
「っ!」
ビクリと体が飛び跳ねて、その反動で慌てて声のしたほうへ視線を向ける。
「あ……」
うそ……。
「っはは。なんて声だしてんの」
そう言って、肩を揺らして笑う人。
成田くんが、机に両手を投げ出して楽しそうにあたしを眺めていた。
「び、ビックリするに決まってるでしょー。 急に声かけないで!」
ここにいたんだ……。
さっき歩いてくの見えたから、あたしもこっちに来たんだけど……。
うわ、あの寝癖のついた髪……。
まさかこんなとこで寝てた!?
「これでも声かけるタイミング、見はからってたんだけど」
「……いつから気づいてたの? てゆーか、成田くんこそ、こんなことで何してたの?旧校舎はいつもは立ち入り禁止なんだよ? 見つかったら怒られちゃうのに……」
きょとんとして、首を傾げた成田くんをチラリと上目遣いで見ながら
あたしはブツブツと文句を言う。
でも、成田くんはあたしの質問なんか全く聞いてなくて。
いつの間にか、ふにゃって笑ってた顔もから表情が消えた。
「――あのさ」
「え?」
ハッとして顔を上げる。
成田くんは――。
まるで感情のこもってない目であたしを見た。
「返事、聞かせてくれる?」
「え?」