恋人はトップアイドル

暗闇の中、君を見つけた SIDE 輝

他のメンバーのソロが終わって、俺の番がやってきた。今回の曲は、俺にとっては珍しいラブバラード。

最初は恥ずかしさもあったが、今はなんとなく、この歌詞の意味が、気持ちが、わかる気がした。それはきっと、優美に出会えたからだ。


だから俺は決めていた。今回のツアーは、この曲だけはアイツのために歌おうと。


しかし、それは突然のことだった。何か衝撃音がしたかと思った次の瞬間、音楽が止まった。程なくして、マイクも機能していないことがわかった。


初日にして、初めての大失態。スタッフも俺も、誰も予期せていなかったことが起こったのだ。


よりによってなんでこのタイミングなんだよ・・っ!!


完全に、頭は真っ白になっていた。一旦裏へはけようかと思ったら、照明が消えた。


スタッフは何やってんだ。


予期せぬハプニングと、自分でも驚くほどの自分のうろたえぶりに、俺はぶつけようのない怒りだけを感じていた。

すると、スタッフやメンバー同士に渡されている無線から、堂本の声がした。

「輝!聞こえるか!一旦降りてこられるか。」

「無理だ。照明消したせいで周りが見えねえ!てかどうなってんだよ!」

隠せない不安と怒りが、口をついて出た。

絶対に成功させたかったのに・・・、なんだってこんなことになってんだよ!!


俺はただ拳を握りしめることしかできない。爪が食い込むほど握っても、まだ苛立ちは収まらなかった。

その時だ。


「優美ちゃん!?」


堂本が焦ったように、優美を呼ぶ声が聞こえた。


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