恋人はトップアイドル
「・・優美、俺たちの関係は、誰かにバレるわけにはいかねえんだ。絶対だ。わかるな?」

俺は優美の左手を握った。
優美はそれを握り返して、不安はありそうなものの真剣な顔つきで、頷いた。

「だから、誰かに協力してもらわなきゃならねえ。堂本なら、それを頼める。これから何かあったときも、俺以外なら、堂本を頼れ。アイツは絶対信用できる。」

「わかった。」

「・・大変だよな。・・嫌んなったか?」

俺は、多少不安な気持ちでそう問いた。

「まだわかんないよ、そんなの。でも、輝と頑張ってみたい。・・それじゃ駄目かな?」

その言葉に、素直に嬉しくなる。

「駄目じゃねえよ。」

俺はそう答えて、優美を抱き寄せた。

「よく覚えとけ。お前は俺の女だ。何があっても離さねえから。・・だから絶対、離れんな。」

多分、色々な障害がある。

それでも、お前を手放したくないんだ。

「・・うん。輝も、ね。」

「当たり前だろ。」

ギュッと抱きしめて、優美の額にキスした。






裏口まで降りて、そのドアの前で俺は立ち止まった。

「わかる所に、堂本いるから。」

俺は出るわけにはいかない。ほんの少しの危険性も、残せないからだ。

「わかった。・・・輝。」

優美は頷いて、少しためらった後、俺の名前を呼んだ。

「ん?」

「あのね・・・、あたし頑張るから。輝のこと・・・好きだし。じゃ、じゃあ、また明日。」


・・なんだよこいつ。


相当恥ずかしかったのか、真っ赤な顔で言い逃げようとした優美の腕を咄嗟に引き寄せた。

「わっ・・!」

優美が背中から俺に飛び込んでくる。それをしっかり抱き留めて、頬にキスを落とした。

「俺も好きだよ、優美。・・また明日な。」

離れがたいけど、腕を放した。優美は俺を真っ赤な顔で一度見上げて微笑むと、裏口から出て行った。

俺はため息をついてしゃがみ込む。

胸の内が、思わず漏れた。

「・・可愛いすぎだっつーの。」


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