恋人はトップアイドル
「・・・お母さんは・・。」

お母さんが、言い淀んで笑った。泣き笑いに近かった。

きっと、行きたいと思っているはず。

だってお母さんが今やっている仕事は------。


「あたしは、お父さんの仕事、引き継げるのは、お母さんしかいないと思う。」


あたしはお母さんに、そう返した。


寂しさなら、もう慣れたよ。

出会った人たちのおかげで、強くなれたとも思う。

・・あたしを、好きになってくれた、彼のおかげで、寂しさも、少しだけ消え始めてる。

だから、お母さん。

もう、あたしのこと、気にしないで。


お母さんは、お母さん自身の後悔を、ちゃんと向き合って、消してきて。


お父さんの、ためにも。


「優美・・・。」

お母さんは目を見開いていた。
驚きと、涙が入り混じった表情。

あたしが、こんなふうに言うとは、思ってなかったのかな?


「・・優美、お父さんの仕事、覚えてたの?」

「ううん、だけど・・お母さんの様子見てたら、なんとなく。」

あたしの返事に、お母さんは苦笑した。

「そう・・・。」

「お母さん、あたし平気だよ。今までだって、ちゃんとやって来たでしょ?だから、本社に、行っておいでよ。」

本心か、嘘か、そう聞かれれば、本心だ。

でも、泣きそうになる胸を、鎮めることはできなかった。

「・・・3年、て言われてるわ。」

「・・お父さんと、同じだね。」

「・・そうね。でも、優美。私、お父さんができなかったことを、してあげたいのよ。優美を一人にはしたくないわ。でも、お父さんの後悔を、忘れることも、出来ないの。」



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