恋人はトップアイドル
「じゃ、決まりだな。」

俺はそう言いながら、今から何をしようか頭の中で考え始めていた。

その日くらいは、外でデートをしたい。だけどマスコミにバレない自信はなかった。


どうすっかな・・・。


プレゼントも、考えなければ。


「すっごい嬉しい・・・。」

考えに没頭していると、ふとそんな声が聞こえた。

優美を見ると、うっすら瞳を潤ませて微笑んでいる。


「おいおい・・、今からそんな喜んでどうすんだ。」

そう言いながら、俺は赤くなりそうな顔を必死にごまかした。

だってやばいだろ・・。可愛すぎるんだよ。


「だって・・。」

「もっと喜ばせてやるから。楽しみにしとけ。」

俺は優美を抱きしめる。優美が俺の背中をギュッと抱きしめたのがわかった。


「輝・・。好き・・・。」


小さく呟かれた優美からの告白。その不意打ちに、理性が破壊されそうになるのを、俺は必死で留めた。


「・・もっと言えよ。」


そんなことを言いながら、我慢しきれなくて、俺は優美の唇に荒々しく口づけた。


愛しすぎて、胸が苦しい。


いつだか演じたドラマの台本に、主人公の気持ち描写として、こんなことが書かれていた。

わけがわからないし、そんなの経験したことがない俺は、その一文をボールペンで塗り潰した。

だけど今ならわかる。



伝えても、伝えても、
抱きしめても、触れても、

このもどかしさが消えない。


もっと近づきたい。もっと側にいたい。もっと愛したい。


俺は自分が何かの渦に溺れていくのを感じながら、それでも優美を離せなかった。



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