恋人はトップアイドル
「私はよく知らないんだが・・、君たちレウ゛ィシングというアイドルグループを知ってるか?」

教頭がその名前を出した瞬間、息が止まるかと思った。

Rだ・・・!Rのレギュラー番組があたしの学校に取材依頼したっていうの!?

会議に参加している他の女子たちが声をあげた。

「先生っ、あたし大ファンですよ!てか今時中高生でR知らない人いないです!」

「先生引き受けて下さいよ!だってそしたらRがうちの学校来るんでしょ?やばくない!?」

完全に女子たちは、盛り上がってしまっている。

だけどあたしは、冷や汗が止まらなかった。
だってそれは・・輝たちがあたしたちの学校に来るってことだ。
バレたら・・、バレたら、バイトも、学校も、ただじゃ済まない・・!!

「優美・・・。」

百合が左隣で、あたしの名前を心配そうに呼んだ。百合には事情がわかっているから。

「そうか、そんなに人気なのか。」

「そうですよ!絶対引き受けたほうがいいですよ!学校の認知度絶対上がりますよ?」

教頭の言葉に、何人かの女子たちが興奮気味に答える。

このままじゃ、学校側はきっと了承する。でも反対したところで、生徒たちの反感を買うのは必須だし・・。

生徒会長としては、了承するのが筋。でもあたしは・・。

その時だった。

ガンッ。

「くだらねえことでキャーワー騒ぐなよ女子。」

健人が机の上に足を置き、冷ややかな声を上げた。

健人・・・?

「なに怒ってんの?意味わかんないんだけど。」

女子が気に食わなさそうに答える。

「まだ了承するなんて決まってねえだろ。大体先生、引き受けるんすか?今まで散々断ってきてて、初めて取材受けるのがアイドルのバラエティーとか、それこそ学校の威厳下げるんじゃないすか?」

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