恋人はトップアイドル
実際、あたしもファンの一人だったりする。

『・・・これが、各クラスの余興内容です。』

体育祭の実行委員長が、各クラスの余興内容をまとめたプリントを読み上げた。

「あたしは、問題ないかと思います。」
「俺も。」

特に気になる点はない。健人もあたしと同じように頷いた。

するとそこで、今日は珍しく会議に参加している教頭が手を上げた。

「おい、笹本くん。」

「?はい、なんでしょう。」

今日は珍しいことが起きる。いつも傍観しているだけの教頭が、会議に参加して、手まで上げるなんて。

まあこれが、学校の一大イベントだからだろうけど。

「私からも一つ、提案なんだ。」

「提案・・ですか?」

すると隣で、健人が面倒くさそうにため息をついたのがわかった。机の下で、自分の足で健人の足を踏ん付けた。

「いっ・・。」

叫びそうになる健人を目で制す。

黙ってて、それからため息つかない。


伝わったのか、健人は大人しく座り直した。


「ああ、実はね、この間うちの学校へ取材以来が来たんだ。」

「取材・・、マスコミですか?」

「ああ。」


教頭の返事に、会議に集まっている委員たちや役員たちから、わずかばかりの声が漏れた。きっと、マスコミと聞いて色めき立ってるんだ。

「引き受けるつもりなんですか?」

話の流れからすると、そう読み取れた。
でも今まであたしたちの学校は、何度取材依頼をされても、それを断ってきているはず。

それが、なぜ?


「いやあそれがね、最初は断ったんだがしつこくてな。しかも、取材したいという番組に出てるタレントが、かなり影響力のあるやつらでね・・。」

「どこの番組ですか?」

あたしは渋る教頭に答えを促した。

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