恋人はトップアイドル
プレゼントならいくらでも貰いなれているユキが、こんなに嬉しそうにするってことは、やっぱりジュエリー系が一番無難なのかもしれない。

「なあ、それどこのブランド?」

俺はさりげなくユキに聞いてみた。

「・・興味あるの?」

案の定、ユキが訝しげに返す。

「姉貴が近々誕生日なんだよ。それでどーしようかと思ってさ。」

俺は仕方なく、咄嗟に嘘をついた。ユキは妙なところで勘が働く。優美のことだなんてばれるわけにはいかない。

「え!?輝、お姉さんいるの!?」

しかしユキにはそっちの方が驚きだったらしい。

「ああ、5つ上のな。」

あまり自分のことは話したくなかったが、姉貴がいるのは事実ではあった。・・・でももう、随分会ってないが。

「へ~、どんなひとなの?」

「詮索はよせ。とにかく、ブランド名教えろよ。」

面倒くさくなって、話を打ち切る。

「偉そうねえ!ま、かっこいいから許すけど。」

「馬鹿か。で?」

「タレントってブランドよ。可愛い系もあるし・・かっこいい感じのもある。お店には行ったことないんだけど、まだそんなに有名じゃないみたい。」

「へえ。さんきゅ。」

「ね、一緒に選んであげようか?プレゼント。」

ユキが不適に微笑みながら、俺を見つめる。

「そういうの好きじゃねえから。」

俺はやんわりとそれを断った。時々ユキが作るこういう雰囲気が、最近は前よりもっと不快になっていた。

でも仕事仲間として、尊敬する一女優として、こじれるようなことはしたくない。

その気持ちだけが、俺に忍耐をさせてくれていた。


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