恋人はトップアイドル
「・・わかってるよ。」

輝が、嬉しそうに笑う。それだけで、あたしは宝物を貰ったような気分になった。

チュッ、とリップノイズをたてて、キスをした。お互いの額をくっつけ合う。

社長がいつ来るかわからないのに、大丈夫かな・・・。

そう思いつつも、離れられない。

ギュッと抱きしめられると、さっきより深いキスが下りてきた。輝の体温が熱くて、キスが甘くて、とろけそうになる。
どうしよう、離れたくない。

「・・ん・・は・・。」

ねだるように、輝の首に腕を回した。
キスの音と、互いの息遣い、あたしの時々もれる声だけが、部屋に響く。

名残惜しくも離れると、二人の間を銀の糸が引いた。

「今日は素直じゃん。」

「・・・だって・・、嬉しいから・・。」

輝が嬉しそうに笑うから、そう返した。今日は、甘えたい。そんな気持ちだった。

「いつもこんくらい積極的でいろよ。俺、お前とならずっとこうしてられっから。」

グイッと身体を持ち上げられて、またしっかりと、輝の膝に座らされて、少しだけ、輝を見下ろす格好になる。

「・・今日、このあと予定あんのか?」

輝がどこか艶めかしく、あたしの頬を撫でる。ドキドキが止まらない。

「う、ううん、ないよ。」

「じゃあ今日は・・、俺と一緒な。」

「・・へ?」

「今日1日、優美は俺のもん。いいな?」

もちろん、甘くそう言われたら断れるはずもない。無言で頷いた。

するとちょうどいいタイミングで、ドアが鳴った。

「もうそろそろだ。」

輝の目つきと、声が変わった。それを見て、あたしも冷静になる。輝の膝から、すぐさま降りた。

「・・輝、あたしに、遠慮しないでね。」

立ち上がった輝に、そういった。

「するつもりねーから、安心しろ。今日は一段と、冷たくしてやるよ。」

輝は意地悪に、笑った。


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