恋人はトップアイドル

社長とのバトル

「輝、話ってなんだ・・と、君は・・・」

高級そうなスーツに身を包んだ、年齢の割には若い社長が入ってきた。社長とは、スタッフに選ばれた後初めての顔合わせで、顔を合わせた以来だ。

社長はあたしがいるとは思っていなかったのか、少し動揺を見せた。しかしすぐに落ち着いて、あたしたちが座るソファの向かいのソファに腰を下ろした。

「おはようございます。こちらで、輝さんの通しスタッフとしてお世話になっている、笹本です。」

あたしはお辞儀をして、そう挨拶をした。
・・緊張で、手が震える。でも、やらなきゃいけない。せめて目だけは逸らさないように、社長の顔をしっかりと見た。

「・・?ああ、なぜ君が?」

「はい、社長に直々にお話があって・・・、堂本さんにお願いをしてこの場を設けて頂きました。」

「話?君が?私は輝から話があると聞いたが?」

「オレがそれを堂本から聞いて、社長に電話したんだよ。オレから電話したほうが早そうだったからな。」

社長のいまいち納得できないといった問い掛けに、輝が答えた。

「お前は笹本さんの話を知ってるのか?」

「・・・ああ、大体は。」

輝・・・。

あたしの隣に座る輝をチラッと見たけど、輝はもう臨戦体制らしい。さっき、「冷たくしてやる」と言った通り、あたしのほうを全然見ようとはしない。


「笹本は俺の通しスタッフだ。だから一応俺も責任者としてここに来た。」

「責任者?なんか問題でもあったのか?」

「・・お前、話せよ。」

社長の返事に、輝があたしをチラリと見やって、首をくいっと社長の方へ動かした。

「・・あの、直々に、社長に謝らなければならないことがあるんです。」

とうとうだ。核心を話さなければ。
震える手を必死で握りしめた。

輝と一緒にいるため。生徒会長を続けるため。あたしは、戦わなくちゃ。

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