恋人はトップアイドル
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「ユミ!」

誰かからふいに声をかけられた。反射的に振り向く。

「エリィ。」

誰だか気がついて、私は彼女の名前を呼んだ。
彼女は私に追い付くと、

「一緒に寮まで帰りましょ。」

といった。

「オーケー。」

私はそう答える。

並んで寮に向かって歩きはじめた。ここの大学は敷地があまりにも広いから、同じ敷地内に寮があるとはいっても、歩いて15分くらいはかかる。


「このあとでしょ?」

エリィがふいに、私に話し掛けた。

「日本に帰るの。」

「うん。単位は無事に取れてたみたいだし、夏休みの間だけね。」

「何年ぶりなの?向こうへ帰るの。」

「んー、約2年ぶり、かな。」

「じゃあ楽しみね。ご両親に会うの?」

「ううん。親はこっちにいるわ。」


そう答えると、エリィは不思議そうな顔をした。


「え?そうなの?私てっきりご両親に会いに行くんだとばかり・・。」

「あるひとと、約束したのよ。」

そんなエリィに、私は遠い、古い記憶を、話しはじめる。


「必ずまた、会いに行くって。」


ねぇ。

まだあなたは、この約束を、覚えてくれているかな。


「・・・恋人?」

エリィが、何かを察したように聞いてきた。

「・・ううん、違うわ。・・好きなひと、よ。」


恋人とは、言えない。もう。

でも、まだ好きだから。


「そう、頑張ってね。私は、アメリカで待ってるわ!」

「うん、ありがと、エリィ。」

エリィの温かさに、頬が緩む。異国の地でも、こうして誰かと繋がれることがありがたい。

だからこそ、帰れる。


私の故郷へ--------。



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