恋人はトップアイドル
久しぶりに降り立った日本は、何だか不思議だった。
何も変わってなどいない。
懐かしいのに、どこか新鮮で、私は一人、戸惑いを感じた。
向こうの夏に慣れていたせいか、こっちの暑さはまだマシだ。でも日本独特のジメジメとした暑さが、私を不快にさせる。
スーツケースを引いて、まず向かったのは渋谷だった。コインロッカーに荷物を入れる。
久しぶりの渋谷は、相変わらず人がいっぱいだ。駅前の大きな液晶テレビも、スクランブル交差点も、109の看板も、何一つ変わっていない。
さて、と。行くか。
私はとりあえず歩きはじめた。
家族でアメリカへ渡ってしまった私には、こっちへ戻ってきてもその間住める家がなかった。
昔の家は今は他人に貸してしまっている。
だから、こっちにいる間は高校時代の親友の家に、身を寄せることになっていた。
アメリカから一応お土産は持ってきたけれど、それだけでは何となく物足りない。
お花か、それともなければ、雑貨なんか買ってから行こう、と考えていた。
久しぶりに、スクランブル交差点の前に立つ。液晶テレビを見上げた。
古い記憶が、私を襲う。
『トップアイドルグループRの結城輝さんの熱愛が、先日とある週刊誌によって発覚しました。お相手は一般人で、某有名進学校に通う----』
『あんたなんかが輝とつりあうわけないでしょ!消えろ!』
『まじありえないんだけど。』
『これは一体どういうことなんだ、笹本!』
何も変わってなどいない。
懐かしいのに、どこか新鮮で、私は一人、戸惑いを感じた。
向こうの夏に慣れていたせいか、こっちの暑さはまだマシだ。でも日本独特のジメジメとした暑さが、私を不快にさせる。
スーツケースを引いて、まず向かったのは渋谷だった。コインロッカーに荷物を入れる。
久しぶりの渋谷は、相変わらず人がいっぱいだ。駅前の大きな液晶テレビも、スクランブル交差点も、109の看板も、何一つ変わっていない。
さて、と。行くか。
私はとりあえず歩きはじめた。
家族でアメリカへ渡ってしまった私には、こっちへ戻ってきてもその間住める家がなかった。
昔の家は今は他人に貸してしまっている。
だから、こっちにいる間は高校時代の親友の家に、身を寄せることになっていた。
アメリカから一応お土産は持ってきたけれど、それだけでは何となく物足りない。
お花か、それともなければ、雑貨なんか買ってから行こう、と考えていた。
久しぶりに、スクランブル交差点の前に立つ。液晶テレビを見上げた。
古い記憶が、私を襲う。
『トップアイドルグループRの結城輝さんの熱愛が、先日とある週刊誌によって発覚しました。お相手は一般人で、某有名進学校に通う----』
『あんたなんかが輝とつりあうわけないでしょ!消えろ!』
『まじありえないんだけど。』
『これは一体どういうことなんだ、笹本!』