恋人はトップアイドル

持つべきものは親友

『はぁ!!?』

キーーン・・。

電話の向こうから聞こえた大声に、思わず受話器を耳から離した。
片耳を人差し指で抑える。

『お前なぁ!何考えてんだよ、このどあほ!!』

電話の向こうの親友、健人はどうやらかなりご立腹らしい。

そりゃそうだ。

「アルバイトするかも。」

なんて開口一番に、親友の、しかも生徒会長が言うんだから。

『お前、うちの学校の校則知ってんだろ!会長が忘れたとは言わせねーぞ!』

「・・あ、アルバイトは・・原則禁止・・です。」

あまりの怒りぶりに、声が小さくなる。

『そうだよ、そうなんだよ。なんだ、知ってんじゃねーか。なのに、え?アルバイトをする?誰が?お前が?・・お前、自分の立場わかってるよな、コラ。』

怖い。健人が怖い。

・・・はい。

声に出せないまま、心の中で返事をする。

『なんだ、わかってんじゃねーか。』

おお!伝わった!さすが、親友!

とか感動していると。

『なのに何でてめーは、そんなもんに応募してんだっ。』

また怒った!

弁明できる間も与えられない。
まさか健人がこんなに怒るとは、思ってもみなかった。


『・・で?何か、理由あんだろ?とりあえず、聞いてやるよ。』

さすが健人だ。やっぱり優しい。

「えーと。あのね、大好きなRがね?」

私は怖ず怖ずと話しはじめる。

『R?』

「ほら、いつも話すでしょ、輝のこととか。雑誌で見せる人!」

そう、私はRが雑誌などにでるたびに、百合や健人に散々その話をするのである。


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