恋人はトップアイドル
7時頃になって、ようやく2人して起きた。

優美は心なしか、身体の動きが鈍い。まだ慣れねーか・・。

それでも俺は嬉しかった。どんなに気を引き締めても、にやけが顔に出る。参ったな・・。

普通の家にしては広すぎる風呂を借りて、支度をした。洋服が昨日と同じだと色々と面倒だし、朝は関口が迎えにもくる。せめて9時にはここを出て、いったん自分の家に戻らなきゃならない。

リビングへ行くと、美味そうな匂いが漂っていた。テレビからはニュースが流れている。しかも英語で。

なんだこれ。

とにかく普段の俺にはありえない環境に戸惑った。

「あ、輝。よかったら朝ご飯食べてって。」

無造作に長い髪を団子にして、普通のロンティーにスキニーデニムをはいた優美が、俺に声をかける。
こういう普段着の姿を見るのは初めてだ。

机の上には、簡単なオムレツとサラダ、トースト、りんごの入ったヨーグルト、コーヒーが並べられていた。優美のも同様、コーヒーが紅茶になっているだけだ。

「簡単なものだけど・・、よかったかな?和食とかの方がよかった?」

俺は基本朝飯は食べない。
自分のために作る気はあまりしないし、料理自体が得意じゃない。

でも優美が作ってくれるなら、いくらでも食べようと思えた。
優美の、不安そうに俺を覗く目に、くすぐったい気持ちが沸き上がる。

「いや、さんきゅ。すげえ嬉しい。」

素直な気持ちだった。
こんな朝は・・何年ぶりだろうか。

「よかった、じゃあ、召し上がれ。」

優美がはにかんで笑う。
・・・くそ、可愛いな。

優美も食べるのかと思ってイスに座ると、優美はテレビの方へ行ってしまった。

「・・?優美、食わねえのか?」

「あ、うん、食べる。でも・・ちょっと・・・。」

優美はニュースを熱心に見ている。英語のニュースなんか、日本語のニュースさえ聞かない俺にはちんぷんかんぷんだ。

でも優美はわかってるんだろう。

改めて、優美の知力を見せつけられた。

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