恋人はトップアイドル
そしてRを送り出すために、また校長室へ向かおうとしていた。健人とあたしが前を歩き、Rとスタッフが後ろに続く。Rはもう、スタッフから次の仕事の説明を受けているようだった。

すると、先生たちが、廊下に何かを張り出していた。

「あれ?せんせー何してんの?」

健人が声をかける。

「おー鈴木、笹本。あー、取材の・・・。」

先生たちはあたしたちに気づき、ペコッと頭を下げると、

「テストの結果だよ。」

とあたしたちにいった。

「うわ、まじかよ!今日だっけ!?」

健人があからさまに嫌な顔をする。あたしも同じ気持ちだった。

「テストって?」

悠さんがあたしに声をかける。

「あ、この時期に2、3年だけ行われる抜き打ちテストのことです。結果発表も・・抜き打ちみたいなもので。」

あたしは苦笑する。

どくん、どくん、と心臓がうるさかった。1位じゃなかったら───。そんなことを考えると、張り出された紙を見られなかった。見たくなかった。

でも、現実は無情に目の前に現れる。

「うわ!優美ちゃん1位じゃん!すっご~い!」

優太くんの声で、あたしは自分の結果を知った。

「確かにすごいな。」

悠さんがそういうのが聞こえた。

少しだけ安心して、張り出された紙を見る。
でもその瞬間・・固まった。


『 学力テスト 結果
1位 笹本優美 406点
2位 鈴木健人 406点



・ 』


同立、1位・・・・!?
健人も多分、同じ衝撃を受けたはず。同立なんて、過去一度もなかったこと。それに、健人と私が生徒会役員になってから、同立になったことは一度もない。

「笹本、今回は手抜いたか?」

「へ・・・。」

先生の声に、動揺していた心がさらに揺れる。

「いや、いつものお前じゃ考えられないなと思ってさ。」

「いや先生!俺が今回は頑張ったんすよー!」

「お前はいつもこんなもんだぞ。」

「うわ、ひでえ!」

健人・・。
わざとおちゃらける健人に、少しだけ励まされた。まだ、仕事中。動揺してる場合じゃない。

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