恋人はトップアイドル

生徒会長の本文

『今日・・、お前ん家、行くから。』

有無を言わさない輝の命令で、甘い時間は終わりを告げた。
そしてこの学校初めての取材も、終わろうとしていた。

「生徒会長って大抵責任が重いと思うんだけど、やっていて、どう感じる?」

最後に、悠さんからインタビューを受けた。あたしは全く予想もしていなかった質問に窮しながら、こう答えた。

「・・責任は、すごく重いです。やっぱりテストや成績は、常に1位をキープしなきゃならないし、学校のイベントや環境を充実させていくのも私たちの仕事なので・・、そうですね・・、色々と大変なことはあります。
でも、任命されなかったら、多分私はこういう役目はやらなかったと思うし、いい仲間にも出会えませんでした。」

健人をチラッと見ると、じっとあたしの話を聞いてくれている。こいつは、いつもそう。

「いい仲間に出会って、切磋琢磨して、支え合って、助け合って、それが結果的に、学校の良し悪しに繋がる。そういう意味では、色々なリスクを冒しても、やる意味は十分にあると思います。だから今はこの役目をもらった事に、感謝してるんです。」

「そっか・・・。君は将来、どんな仕事に就きたいとかってあるの?」

悠さんは、あたしの話に頷いた後、さらにそう聞いた。

「私は・・、海外で働きたいです。」

「海外で?」

初めていう、あたしの夢。
健人は心なしか、納得したようにしているけれど、輝にはまだ、いったことはない。

「父が・・、貿易関係の仕事をしてたんです。だからできれば、そういう海外と日本の、橋渡し的な仕事が出来たらなとは思ってます。」

お父さんが残したもの。
お母さんが追い掛けたものを、あたしも追い掛けたい。

そんなあたしの話で、取材は終わった。


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